研究概要 |
5月、韓国のハンスバイオメド社を訪問し、同社の研究協力を得て無細胞真皮であるアロダーム(米国産)とシュアダーム(韓国産)を取得しました。白人種であるアロダームと黄色人種であるシュアダームの組織を染色し、真皮の構築が前者でより保たれていることを確認し、移植材料として将来の複合上皮作製にはアロダームが優れていると判断しました。 クリーンベンチ、乾熱滅菌器、冷却遠心器とインキュベーター購入後、まず、皮膚表皮と口腔粘膜上皮の培養をスタートさせることができ、その設定条件を整えました。同時に、凍結保存容器を購入することで、培養細胞の長期保存システムを確立させました。その後、1.自家培養表皮移植の臨床応用とその評価、及び、2.培養複合口腔粘膜の臨床応用およびその評価、を神戸大学倫理委員会に提出し、12月に承認を得て、臨床応用を開始することができました。1.は、毛包細胞の培地とほぼ同じである表皮角化細胞の培地使用の許可を得るためのステップ、2.は、無細胞真皮(アロダーム)使用許可を得ることによって、本研究の課題である将来的な毛包細胞との複合上皮作製のためのステップとして重要です。 現在、皮膚基底膜成分であるタイプ7コラーゲン、フィブロネクチン、ラミニンがアロダームの基底膜部分に存在するか否かを免疫組織学的に検討中であり、加えて、自身のヒゲを抜去し、アロダームへの移植条件を確立するために、タイプ4,7コラーゲン、フィブロネクチン、ラミニンが毛包移植生着に必要か否かを検討しています。これらの基底膜成分をアロダームへ前処理して毛包を移植中ですので、本年度中に最適成分を決定し、その至適条件を確立させる方向で実験を進めています。さらに、皮膚及び口腔粘膜線維芽細胞をメニコンより提供を受けたコラーゲンスポンジに3次元培養をしています。これらの培養真皮上に毛包細胞、表皮角化細胞、口腔粘膜角化細胞を移植、重層化させ、組織学的に検討を加え、上皮系と間葉系の相互作用を検討する予定です。
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