口腔粘膜歯肉角化細胞を上皮系、他家無細胞真皮を間葉系とする培養複合口腔粘膜が神戸大学の倫理委員会を通過した後、約1年で10症例の患者さまに移植させることができました。その経過と結果は今春(4月7日〜9日、於東京都)の第47回日本形成外科学会総会・学術集会にて報告します(培養複合口腔粘膜の臨床応用)。移植後の臨床経過から、問題なく生着させることができたため、本研究課題である将来の毛包移植による複合皮膚上皮の臨床応用の可能性が膨らんできました。実験室内で培養皿への毛包移植が可能となり、タイプ7コラーゲン、ラミニン、フィブロネクチンによるコーティングを試みましたが、抜去毛包を生着させることはできても、角化細胞の播種まで完成させることができませんでした。そこで、新しい細胞接着因子であるアタッチンとコーティングマトリックス前処理にて現在検討中です。 一方、平成15年度予算の島津社の14Bガスクロマトグラフィーを5月オーダーし、10月に完成し機器のセットアップ後、スタンダードの設定を行い、12月からまず毛包と毛髪のサンプルを予備実験として組織内・細胞膜内19種の脂肪酸組成を解析しました。その結果、毛包・毛髪内ともに必須脂肪酸が通常の皮膚表皮よりも少なく、かつ、16:0(パルミチン酸)が過剰に含まれていることが確認された。この結果は、3月23日〜25日(於幕張)の日本再生医療学会にて報告する予定です(毛包および毛髪の脂肪酸組成解析)。 さらに、先の口腔複合粘膜の移植後の患者さまから生着後6ヶ月経過したのち、移植部の生検を兼ねて本来の口腔粘膜組織に回復しているか否かを検討するためにサンプリングを行い、ガスクロマトグラフィーに供する予定です。
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