研究課題/領域番号 |
14370577
|
研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
高野 吉郎 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (90126425)
|
研究分担者 |
高橋 信之 生化学工業(株), 東京研究所, 研究員
坂本 裕次郎 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (90242205)
寺島 達夫 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (20114770)
|
キーワード | 象牙質 / セメント質 / 再生 / 歯周組織 / DSP / bisphosphonates / HEBP / 歯 |
研究概要 |
石灰化阻害動物モデルを用いたセメント質の異所性形成誘導と象牙質基質成分の動態 【石灰化阻害動物モデルの作製】3週齢ラットの背部皮下に、石灰化阻害作用を有するbisphosphonateの一種1-hydroxyethylidene-1,1-bisphosphonate(HEBP)を注射あるいは浸透圧ポンプにて1-2週間連続投与した。HEBP投与下でも臼歯の象牙質形成はほぼ正常と同ペースで進行したが、新規に分泌された歯根象牙質は全層がほぼ完全に未石灰化基質で構成されていた。切歯の石灰化も同様に抑制され、形成端付近の象牙質は完全に石灰化が阻害されていた。生後2週のモルモットの切歯でもラットと同様な結果を得た。 【歯根象牙質の歯根膜面】未石灰化象牙質の歯根膜面に無細胞セメント質全く形成されなかったが、本来無細胞セメント質が形成されるべき場所に、未石灰化の有細胞セメント質が厚く形成されていた。石灰化を阻害した無根歯の歯根アナログ象牙質の表面にも、時に歯根膜面に有細胞セメント質が形成されていた。 【DSPの産生と動態】象牙芽細胞はHEBP投与下でも活発なDSP合成・分泌能を維持しており、象牙芽細胞から分泌されたDSPが未石灰化象牙質層を容易に透過して、歯根膜側へ拡散することが確認された。正常ラットの臼歯では歯根象牙質と無細胞セメント質との境界にDSPの反応はなかったが、象牙質と有細胞セメント質の境界には強いDSP免疫反応が認められた。 以上、平成14年度はHEBP連続投与による石灰化阻害動物モデルの観察から、象牙芽細胞の産生物が未石灰化象牙質を通過して歯根膜側へ拡散することにより、本来無細胞セメント質が形成される部位に有細胞セメント質が誘導されることが確認された。この事実は象牙芽細胞の産生物質に何らかの有細胞セメント質形成誘導因子が含まれている可能性を示唆する。正常の歯根形成過程では、歯根象牙質の基質の一部として分泌された誘導因子が歯根膜細胞に作用し、有細胞セメント質の形成を促すものと推測される。
|