研究課題/領域番号 |
14370581
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
朔 敬 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (40145264)
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研究分担者 |
程 くん 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (40207460)
依田 浩子 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (60293213)
大城 和文 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (50332648)
鈴木 誠 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (50107778)
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キーワード | 扁平上皮癌 / 腫瘍間質 / 細胞共培養 / 細胞外基質 / 間質細胞 / in-situハイブリダイゼーション / RT-PCR / マイクロディセクション法 |
研究概要 |
(1)免疫およびハイブリッド組織細胞化学的実験:癌浸潤にともなう間質誘導が病理組織学的に上皮内癌と浸潤癌の鑑別に利用できるかどうかを目的に、HSPG、テネイシンおよびファイブロネクチンの細胞外基質(ECM)分子に対する抗体を用いた酵素抗体法、それぞれのRNAプローブによるin-situハイブリダイゼーションを実施し、これらのECM分子の局在によって浸潤癌を確定できる可能性をしめすことができた。これらの腫瘍性間質の産生担当は誘導間質線維芽細胞であることを確認した。したがって、癌の浸潤とは間質誘導と同意語であるという概念を提唱した。 (2)実質細胞と間質細胞の共培養実験:前年度までに確立したヒト口腔扁平上皮癌由来細胞系ZK-1およびヒト間質線維芽細胞OF-1との間接および直性共培養法の条件で、それぞれの細胞のECM分子産生レベルをRT-PCR法および蛍光抗体法により、遺伝子ならびに蛋白質レベルで確認した。直接共培養実験では、マイクロディセクション法により二種の細胞を選択的に分離した。その結果、共培養実験では、1)総体的にECM分子産生量が上昇すること、2)ZK-1細胞はOF-1細胞との共培養によりそのECM産生レベルが低下することがしめされた。したがって、癌浸潤によって誘導される腫瘍性間質は間質在住の線維芽細胞により産生されること、上皮内癌のように浸潤性を獲得していない段階では、癌細胞はみずからECM分子を産生して上皮内基質を形成してその増殖を制御していることが判明した。 (3)総括:本年度までの実験結果を総括すると、腫瘍間質は実質細胞ならびに間質細胞のクロストークを通して癌浸潤界面できわめて合理的に形成されていることが判明した。この結果から、腫瘍細胞増殖にはECM分子が必須であること、浸潤によって間質誘導が実現するとECM分子産生は非浸潤時の腫瘍実質細胞から間質線維芽細胞にその役割が転換することが明らかになったので、われわれは、この現象を間質誘導のスイッチング現象と名付けて、今後その詳細なシグナル伝達機序を分子レベルで解析する展開を計画している。
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