研究概要 |
歯周組織再生療法として注目されているエナメル蛋白の生物活性を示す蛋白の種類や活性部位の同定ならびに同活性部位の合成ペプチドによる新しい歯周組織再生療法剤開発の可能性を検討するため、申請書にある計画にそって研究を遂行した結果、本年度は以下の成果を得た。 1.15年度の検討によって歯根膜細胞の分化を促進する活性のあることが明らかとなったアメロブラスチンN端ポリペプチド部アミノ酸数を増減し,分化促進能のピークを検討した結果,今回検討したポリペプチド長の増減は細胞増殖に変化を及ぼさなかったが,16アミノ酸より長いペプチドはアルカリホスファターゼ活性や石灰化物形成能を促進した。 2.合成ペプチドをコードするcDNAをCMVベクターにて導入したところ,細胞外分泌ドメインを持つベクターを用いた場合に,アルカリホスファターゼ活性や石灰化の亢進が認められ,細胞表面に合成ペプチドに対するレセプターの存在する可能性が強く示唆された.そこで,この系を用いてレセプターの同定を試みたが,完遂するには至らなかった. 3.合成ペプチドの組織再生促進作用に関する検討をラットの歯周欠損モデルを用いて行った結果,対照群では明らかな組織再生が観察されなかったのに対し,合成ペプチド投与群では明らかな結合組織付着の新生や上皮の進行増殖がみられ,合成ペプチドの新しい歯周組織再生薬としての有用性が示された. 4.本研究で得られた成果を特許出願するとともに,歯科医学会総会に公表した.
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