研究分担者 |
宮内 睦美 広島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (50169265)
小川 郁子 広島大学, 病院・講師 (70136092)
工藤 保誠 広島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (50314753)
内田 隆 広島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (50150305)
松田 尚樹 長崎大学, アイソトープセンター, 教授 (00304973)
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研究概要 |
歯周組織再生療法として注目されているエナメル基質蛋白(Emdogain : EMD)の生物活性を示す蛋白の種類や活性部位の同定,ならびに同活性部位の合成ペプチドによる新しい歯周組織再生療法剤の開発実用化の可能性を検討するために,以下の検討を行った。 1.歯周組織再生に関わる歯周靱帯細胞(PDLC),歯肉上皮細胞,歯肉線維芽細胞,骨芽細胞などの歯周組織構成細胞の増殖分化に対するEMDの作用機序を,細胞ならびに分子レベルで明らかにする. 2.EMDを作用させた時の細胞内シグナル伝達系の動きを解析し,レセプター型を同定する. 3.どのエナメル基質蛋白のどのペプチド部位に生物活性があるかを絞りこむ. 4.生物活性のあると考えられる部分のペプチドを合成し,PDLCに対する生物活性の有無や同ペプチドの歯周組織再生促進作用を明らかにする。 その結果, 1.EMDはPDLCや骨芽細胞の増殖や分化を促進したのに対し,歯肉上皮細胞の増殖や線維芽細胞の増殖を抑えた。 2.PDLCの増殖促進作用に,EMD特異的なRTK-ERK1/2シグナル伝達系の存在が示唆された. 3.抗アメロブラスチン抗体がEMDの示すPDLCの増殖,分化促進効果を抑制した. 4.PDLCの増殖,分化に影響を及ぼす抗体の認識部位に一致する合成ペプチドが,PDLCの増殖,分化を促進し,実験的歯周欠損モデルにおける組織再生を促進した. 以上の結果から,EMDが歯周組織再生に合目的的な生物活性を有していることが示された。また,本研究で創製したアメロブラスチン合成ペプチドを,新しい歯周組織再生療法剤として応用できる可能性が示唆された。
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