研究課題/領域番号 |
14370584
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
形態系基礎歯科学
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研究機関 | 鶴見大学 |
研究代表者 |
斎藤 一郎 鶴見大学, 歯学部, 教授 (60147634)
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研究分担者 |
喜田 聡 東京農業大学, バイオサイエンス学部, 助教授 (80301547)
坪田 一男 慶応大学, 医学部, 教授 (40163878)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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キーワード | 遺伝子発現調節システム / 自己免疫疾患 / 免疫学的寛容 / シェーグレン症候群 / 疾患モデルマウス |
研究概要 |
シェーグレン症候群(SS)は、なんらかの環境要因が免疫寛容の破綻を引き起こし発症していると考えられている。この免疫寛容の破綻を検討する目的で、唾液腺特異的にタモキシフェンにより導入遺伝子の発現調節可能なモデルマウスの作製を行った。また、SSは涙液・唾液の分泌障害を伴うことから、この障害機序を解明するためには分泌機構を明らかにする必要があり、最近、転写因子CREBが唾液分泌機構に関与している報告から、外分泌腺組織におけるCREBの機能を検討し以下の結果を得た。1.マウス耳下腺初期培養細胞においてcarbachol刺激でリン酸化CREBが検出され濃度依存的にリン酸化が増強された。2.マウス耳下腺初期培養細胞においてisoproterenol刺激でリン酸化CREBが検出され濃度依存的にリン酸化が増強された。3.carbachol刺激によるリン酸化CREBは刺激後5分から検出された。4.isoproterenol刺激によるリン酸化CREBは刺激後5分から検出された。5.ムスカリン性アセチルコリン受容体のアンタゴニストであるatropineを用いて、マウス耳下腺初期培養細胞におけるcarbachol刺激によるCREBのリン酸化はatropine濃度依存的に抑制した。6.アドレナリンβ2受容体のアンタゴニストであるpropranololを用いて、マウス耳下腺初期培養細胞におけるisoprotereml刺激によるCREBのリン酸化はpropranolol濃度依存的に抑制した。7.PLCおよびPKA阻害剤を用いて、耳下腺初期培養細胞におけるcarbachol、isopmterenol刺激によるCREBのリン酸化はPKA阻害剤によって抑制された。8.carbachol、isoproterenol刺激によるamylase活性はPKA阻害剤によって活性が減少された。9.tamoxifen誘導による唾液腺特異的にCREB-dominantnegativeを発現調節するトランスジェニックマウスの作出を行った。以上の結果から、唾液分泌機構に転写因子CREBが関与し、さらにドミナントネガティプのCREBにより分泌障害が引き起こることが示唆された。よって、唾液腺特異的に発現調節可能なモデル動物の構築はSSの病因を解析するために重要であり、この遺伝子発現調節システムは他の疾患の発症機序を検討する上でも有用であると考える。
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