研究課題/領域番号 |
14370586
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
形態系基礎歯科学
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
和中 明生 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (90210989)
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研究分担者 |
辰巳 晃子 奈良県立医科大学, 医学部, 助手 (90208033)
芳賀 敏実 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (20192263)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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キーワード | 口蓋裂 / ノックアウトマウス / Lhx8 / Decorin / TGF / Explant culture |
研究概要 |
本研究では我々が同定したLIMホメオドメイン遺伝子の一種であるL3/Lhx8が胎児発生の過程で口腔周囲部の中胚葉組織に特異的に発現することを受けて、本遺伝子のノックアウトマウスを作成することにより口腔を形成する組織(口蓋、歯、舌等)の形成にL3/Lhx8遺伝子がどのような機能を及ぼすかについて検討した。ノックアウトマウスは例外なく口蓋裂を発症し、本遺伝子が口蓋の形成、特に胎児期の口蓋板の癒合に必須であることが示唆された。L3/Lhx8遺伝子と構造類似のLhx6遺伝子の発現も口蓋形成の過程においてよく似通ったパターンを呈することを認めたが、L3/Lhx8遺伝子の方がより広く、且つより強く発現していることが明らかとなった。我々はノックアウトマウスにおいて、口蓋板癒合に関わる遺伝子に異常をきたしているとの仮説を立て、細胞-細胞相互作用に関わる可能性が考えられる細胞外基質、接着因子、成長因子及びそれらの受容体遺伝子の発現を組織学的にノックアウトマウスと野生型マウスの間で比較検討を行った。その結果ノックアウトマウスの口蓋において特異的にDecorinの発現が上昇していることを見出した。DecorinはTGFβのデコイ受容体として機能していることが知られていること、及びTGFβ3のノックアウトマウスがL3/Lhx8遺伝子のノックアウトマウスと非常に良く似た口蓋裂発症頻度を呈することから、L3/Lhx8ノックアウトマウスではDecorinがTGFβの機能を阻害することにより口蓋裂発症に至っていると考えられた。さらに器官培養系でL3/Lhx8ノックアウトマウス由来の口蓋癒合不全が培地にTGFβを添加することで救済されること、及びレチノイン酸誘導性の口蓋裂組織においてもDecorinの発現が上昇していることなどから口蓋形成にL3/Lhx8-Degorin-TGFβのシグナル伝達経路が重要であることを示した。
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