研究概要 |
1.in vitroでのラット骨芽細胞様樹立細胞株におけるCbfa1(Runx2),Osterix(Osx)およびAJ18遺伝子の発現dexamethasone(Dex)はin vitroで骨芽細胞分化と石灰化を促進すると言われている。そこで,Dex添加または非添加でROS17/2.8,UMR106,ROB-C26(C26)およびROB-C20(C20)をそれぞれ培養した。経日的にRNAを抽出し,骨芽細胞分化関連転写因子Cbfa1,AJ18,Osx, Dlx5,Msx2,骨芽細胞関連タンパクalkaline phosphatase(ALP),osteonectin, osteopontin(OPN),bone sialoprotein(BSP),osteocalcin(OC),matrix Gla protein(MGP),dentinmatrix protein1(Dmp1),osteoblast/osteocyte facter45(OF45)およびBMPs(BMP-2,4,6,7)の遺伝子発現をNorthern blot法およびreal-time RT-PCR法を用いて比較・検討した。【ROS17/2.8の成果】ROS17/2.8は全ての転写因子とBMPs,さらにMGPおよびOF45以外の全てのタンパクを発現し,基質の石灰化は4日目に開始していた。また,ROS17/2.8はCbfa1とMsx2を一定に発現していたが,他の全ての転写因子およびタンパクの発現は培養4日目頃にほぼ一致して増加または減少していた。一方,Dex(10^<-8>M)は細胞増殖を抑制し,培養3日目に石灰化を誘導した。DexはCbfa1,Msx2,osteonectin, MGPおよびDmp1の発現に影響を与えなかったが,これらを除いた上記の全ての遺伝子発現を石灰化の誘導に関連して促進または抑制していた。以上の所見から転写因子およびタンパクの遺伝子発現はDexによって影響を受け,石灰化に密接に関連して変化することが示唆された。 【C26の成果】C26はOsxおよびBSPを除いた全ての転写因子,タンパクおよびBMPsを発現していた。また,C26の培養期間中に石灰化は認められなかった。一方,Dex(10^<-8>M)は細胞増殖,ALP活性,BMP-4の発現を抑制したが,OPN, MGP, Dmp1,OF45およびBMP-6の発現を促進した。一方,これらを除いた全ての遺伝子発現と石灰化にはDexの影響が認められなかった。以上の所見からC26はOsterixとBSPの発現を欠如し,またOCとDlx5を極めて軽度に発現するosteoblast precursorに相当し,DexのC26に対する効果はBMP-4とBMP-6発現の抑制または促進と関連する可能性が示唆された。 【UMR106とC20の成果】現在,データを纏め,論文執筆中である。 2.ラット単離骨細胞初代培養細胞および骨細胞株細胞におけるCbfa1(Runx2),OsxおよびAJ18遺伝子の発現生後9日齢ラット頭蓋冠をMikuni-Takagakiら(J Bone Miner Res.10:231-42 1995)の方法に準じて骨芽細胞と骨細胞をI〜VIの各フラクションに分離し,RNAを抽出し,上記遺伝子の発現を検討中である。また,骨細胞株細胞(MLO-Y4,MLO-A5)についても同様に上記遺伝子の発現を検討中である。
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