研究課題/領域番号 |
14370589
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
青木 和広 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (40272603)
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研究分担者 |
長澤 敏行 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (90262203)
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キーワード | タンパク製剤の問題点 / RANKL / ワクチン療法 / 骨吸収抑制 / TNF / CIAモデル |
研究概要 |
近年Receptor Activator of NF-kB Ligand(RANKL)が生理的な骨吸収のみならず骨粗懸症やリウマチ性関節炎などの病的骨破壊にも関与していることが明らかになり、RANKLの阻害因子osteoprotegerin(OPG)はこのような疾患に対する治療薬として期待されている。ところが、OPG製剤や抗RANKL抗体が実用化すると免疫原性の問題や中和抗体産生による効果減弱が生じる可能性が高いことから、我々はタンパク製剤の問題点を解決するため自己RANKLに対する液性免疫誘導という全く新しい治療法の可能性を検索した。ヒト用に開発されたRANKLワクチン(RANKL-V)とTNFに対するワクチン(TNF-V)とをリウマチモデルであるコラーゲン誘導関節炎(CIA)マウスを用いて比較検討することにより炎症性骨破壊におけるRANKLワクチンの有用性を検討した。5週齢のDBA/1Jマウスに2週もしくは3週ごとに計4回のワクチンを投与し、その間2回のコラーゲン感作を行った。関節炎の発症はRANKL-Vを投与してもコントロールワクチン(Ctr-V)投与群と同様に始まったが、TNF-V投与により発症は3日遅れ、炎症の程度もTNF-V投与により抑制された。一方、コラーゲン感作39日目にマウスを屠殺し関節部の骨密度を定量した結果、Ctr-V投与群ではコラーゲン未感作群(正常骨密度)に較べて有意な骨密度低下を示したが、RANKL-V投与により正常骨密度まで回復した。TNF-V投与群においても関節炎による骨密度低下を有意に抑制したが、正常骨密度までは回復しなかった。以上の結果からRANKLワクチンはCIAモデルにおいて炎症の発症は遅らせられないが、炎症性骨破壊の抑制に対してはTNFワクチンと同様もしくはそれ以上の効果を示す可能性が明らかとなった。
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