研究課題/領域番号 |
14370589
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
青木 和広 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (40272603)
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研究分担者 |
長澤 敏行 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (90262203)
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キーワード | ワクチン / 液性免疫 / RANKL / 破骨細胞形成抑制 / 骨吸収抑制 / 歯周病モデル / 骨粗鬆症モデル / 関節リウマチモデル |
研究概要 |
近年Receptor Activator of NF-κB Ligand (RANKL)が生理的な骨吸収のみならず骨粗鬆症やリウマチ性関節炎などの病的骨破壊にも関与していることが明らかになり、RANKLの阻害因子osteoprotegerin (OPG)はこのような疾患に対する治療薬として期待されている。ところが、OPG製剤や抗RANKL抗体が実用化すると免疫原性の問題や中和抗体産生による効果減弱が生じる可能性が高いことから、我々はタンパク製剤の問題点を解決するため自己RANKLに対する液性免疫誘導という全く新しい治療法の可能性を検索した。昨年度はヒト用に開発されたRANKLワクチンとTNFに対するワクチンとをリウマチモデルであるコラーゲン誘導関節炎(CIA)マウスを用いて比較検討することにより炎症性骨破壊におけるRANKLワクチンの有用性を検討した。今年度は、歯周病のモデルマウスを用いてヒトワクチンの効果を検討したが、既に確立されたモデルであるPg菌を用いた歯周病モデルマウスでは、臼歯の歯牙周辺骨密度は下がるものの、歯槽骨頂に有意な減少が認められなかった。歯周病モデルの再現性が取れなかった為、試行錯誤の末、ハムスターを用いる歯周病モデルを用いることになった。ラットのRANKLワクチンがハムスターと交差性があることが確認されたため、ラットRANKLのワクチンを使用することになったが、抗体供給先のデンマークPharmexa社から連絡があり、ラットワクチンの蛋白安定性に問題があることが判明した。この間、閉経後骨粗鬆症のモデルである卵巣摘出マウスおよびリウマチ自然発症モデルであるSKGマウスを用いて、マウスRANKLワクチンの骨吸収抑制効果を確認した。コントロールには破傷風菌のワクチンを用いた。以上の結果からRANKLワクチンは蛋白の安定性に問題があるが、改良が進めば骨粗鬆症や炎症性骨破壊における画期的な治療法になる可能性が示された。現在、前述のハムスターモデルにおいて、改良されラットRANKLワクチンを用いて実験を開始するところである。
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