研究課題/領域番号 |
14370591
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
川島 博行 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (40169719)
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研究分担者 |
池亀 美華 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (70282986)
松田 明生 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (10359705)
吉澤 達也 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (40313530)
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キーワード | メカニカルストレス / 歯芽細胞 / 歯根膜細胞 / 石灰化 / 骨形成 / エンドサイトーシス / 遺伝子発現 / OPLL |
研究概要 |
マウス頭頂骨縫合部にメカニカルストレス(MS)を負荷すると骨芽細胞の分化に続いて骨形成が刺激されることはすでに報告した。MSで誘導される遺伝子のひとつαアダプチンCは、エンドサイトーシスを高めることにより骨芽細胞の分化に寄与することを明らかにした。MS負荷により発現量が変化する遺伝子についてさらに検討するため、MSに曝されながらも決して石灰化しない細胞と骨芽細胞とを比較検討することを考えた。そのような細胞の代表として、我々は、世界ではじめて歯根膜細胞の樹立に成功した。歯根膜細胞は歯槽骨と歯のセメント質とを結合する靭帯細胞で、骨芽細胞と同様間葉系由来の細胞である。歯根膜細胞では発現量が高く骨芽細胞には少ない遺伝子を調べた結果、ホメオボックスを持つ転写因子Msx2が歯根膜細胞の石灰化を抑制していることが明らかになった。さらに、骨芽細胞の分化成熱にともなってMsx2遺伝子の発現は消失すること、本遺伝子を強制的に発現すると石灰化が抑制されること、逆にMsx2を欠損させると歯根膜細胞も石灰化することがわかった。Msx2の発現量は腱細胞でも高いことからMsx2の腱細胞における重要性も示唆された。さらに、脊椎後縦靭帯骨化症(OPLL)患者靭帯の病変部ではMsx2発現量の減少が認められ、減少度と症状の重篤度との間に相関関係があることも明らかになった。以上のことから、歯根膜等の靭帯や健の細胞と骨芽細胞とでは、メカニカルストレスの受容機構と応答性が異なること、前者においては石灰化抑制機構が働いているため、通常の生理的条件では石灰化しないことが明らかとなった。上記の石灰化抑制機構において、Msx2は、Runx2と直接結合してヒストンデアセチラーゼ活性を誘導することによりRunx2阻害作用作用を発現することもわかった。
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