研究課題/領域番号 |
14370592
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
上崎 善規 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (40116017)
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研究分担者 |
佐伯 万騎男 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (30273692)
和田 孝一郎 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 講師 (90263467)
米原 典史 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助教授 (70124534)
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キーワード | 歯周炎 / 炎症刺激 / ニトロ化タンパク質 / PPARγ / 核移行型受容体 / 培養細胞 / 転写制御因子 / 細胞死 |
研究概要 |
歯牙欠損に中心的な影響を与える歯周炎の発症・進展メカニズムを解明することにより、炎症を制御して、歯牙欠損を予防できる薬物の開発を目指し、本年度の研究は、主に培養細胞系を用いて、炎症刺激時にニトロ化されるタンパク質の同定を中心に行った。さらに、そのニトロ化が実験動物でも認められることを確認した。 マクロファージ系の培養細胞(RAW267)に炎症刺激を与えると、分子量が5万のタンパク質がニトロ化されることを認めた。この分子量は最近、炎症との関連性が注目されているPeroxisome proliferator activated receptor γ(PPARγ)に類似するため、免疫沈降法により、この受容体がニトロ化されていることを確認した。この受容体はステロイドホルモン受容体ファミリーに属し、リガンドとの結合により核へ移行し、転写因子として働くことが知られている。しかし、今回、ニトロ化により、この機能が抑制されていた。また、実際に、アジュバントで炎症惹起した関節炎モデル動物(マウス)においてもこの受容体がニトロ化されていることを確認した。 一方、炎症に伴う各種タンパク質のニトロ化は細胞死にも繋がっていた。特に、培養神経と細胞においては、リン酸化・脱リン酸化による生存シグナル伝達制御系と、ニトロ化・脱ニトロ化による機能制御機構の相互干渉により、細胞死が認められることを明らかにした。 さらに、炎症に伴う「疼痛」刺激の伝達制御系にも、一酸化窒素やペルオキシナイトライトによるタンパク質のニトロ化が関係していた。
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