研究概要 |
歯牙形成を制御機構する遺伝子を網羅的に解析、同定するため、本研究では胎児マウス顔面骨からgene chip、プロテオミクス、differential displayによるスクリーングを2年間にわたり行った。その結果Notch1が一過性に発現上昇することを同定した。Notch1の骨芽細胞分化に及ぼす影響はその細胞内ドメインを用いて調べられているが、リガンドであるDelta, Jaggedの関与については依然不明である。平成16年度で我々はNotch1はDelta1,Jagged1とともにマウス大腿骨に作製した骨欠損部の修復過程で強く発現することを確認したため、骨芽細胞の細胞分化に及ぼす影響をC3H10T1/2,MC3T3-E1,C2C12等の細胞を用いて検討した。野生型Notch1とその活性型細胞内ドメイン、Delta1,Jagged1を一過性過剰発現させると、培養細胞のBMP-2によるALP活性の上昇を増強した。Real-time PCRによる検討でALP以外にもosteocalcin, osterix, runx2等の発現も同様に増強させた。またDelta1-,Jagged1-Fcリコンビナント蛋白をprecoatした場合にも同様な結果が得られ、長期培養では石灰化を誘導し、移植実験ではBMP2による異所性骨化を促進した。一方、インヒビターや、ドミナントネガティブ型の細胞外Notch1の過剰発現、あるいはNotch1 siRNA等を用いた場合は、BMP-2によるこれら因子の発現やALP活性は抑制された。Notch1とBMP2のクロストークメカニズムを各種プロモーター活性や標的遺伝子発現の誘導から検討した。その結果、機能的Notch1のシグナルはBMP2のシグナル伝達に必須であることが明らかになった。
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