研究課題/領域番号 |
14370599
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研究機関 | 松本歯科大学 |
研究代表者 |
高橋 直之 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 教授 (90119222)
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研究分担者 |
川上 敏行 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 教授 (80104892)
宇田川 信之 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (70245801)
小澤 英浩 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 教授 (60018413)
溝口 利英 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 助手 (90329475)
高橋 昌宏 松本歯科大学, 歯学部, 助手 (90340059)
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キーワード | 破骨細胞 / マクロファージ / 骨芽細胞 / リポ多糖 / インターロイキン1 / 樹状細胞 / RANKL / p38MAPK |
研究概要 |
破骨細胞と骨髄マクロファージ(Mφ)のシグナル伝達系とサイトカイン産生:(1)LPS/IL-1は破骨細胞の延命と骨吸収能を促進した。(2)LPS/IL-1は破骨細胞のNF-κBとERK、AKtを活性化した。(3)MEK阻害剤は、LPS/IL-1による破骨細胞の生存維持作用を抑制しなかったが、PI3K阻害剤は破骨細胞の生存維持とともにAktの活性化を抑制した。(4)LPSはMφのIL-1、TNFα、IL-6産生を著しく促進したが、破骨細胞のそれらの産生を促進しなかった。 破骨細胞分化におけるp38MAPKシグナルの重要性:(1)p38MAPK阻害剤SB208530(SB)は、RANKLが誘導するMφの破骨細胞への分化を抑制した。しかし、破骨細胞の骨吸収を阻害しなかった。(2)RANKLはMφのp38MAPKのリン酸化を誘導したが、破骨細胞のそのリン酸化を誘導しなかった。(3)SBはLPSが誘導するMφのIL-1、TNFα、IL-6産生を抑制せず、Mφの貪食能も抑制しなかった。(4)SBはMφから樹状細胞への分化を抑制しなかった。 LPSによる破骨細胞形成促進機構:(1)マウス共存培養系で、LPS/IL-1はPGE_2産生と破骨細胞形成を促進し、COX2阻害剤(NS398)はそれらを抑制した。(2)LPS/IL-1は骨芽細胞のRANKL mRNAの発現を上昇させ、OPG mRNAの発現を抑制した。NS398はLPS/IL-1によるRANKL発現上昇には影響を与えないが、OPG発現抑制を阻害した。(3)OPG欠損マウスの骨芽細胞を用いた共存培養では、NS398はLPS/IL-1が誘導する破骨細胞形成を阻害しなかった。(4)LPS/IL-1は、Ca/PKC-MEK/ERK経路の活性化を介してRANKL発現を誘導した。 以上のことから、細菌菌体成分とIL-1はそれぞれの受容体を利用して、骨芽細胞のRANKLの発現を誘導すること、および破骨細胞の骨吸収機能を誘導することで骨吸収を促進することが明らかとなった。また、破骨細胞への分化にはp38MAPKシグナル系が重要であることが明らかになった。
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