研究課題/領域番号 |
14370604
|
研究機関 | 高知医科大学 |
研究代表者 |
植田 栄作 高知医科大学, 医学部附属病院, 講師 (10203431)
|
研究分担者 |
木村 剛 高知医科大学, 医学部附属病院, 助手 (10294836)
鎌谷 宇明 高知医科大学, 医学部附属病院, 助手 (00315003)
山本 哲也 高知医科大学, 医学部, 助教授 (00200824)
尾崎 登喜雄 高知医科大学, 医学部, 教授 (70031995)
|
キーワード | 抗菌ペプタイド / α-ディフェンシン / β-ディフェンシン / Peptide 2 / チトクロームP450 / カンジタ症 / アスペルギルス症 / 好中球 |
研究概要 |
抗菌ペプタイドの抗真菌作用について、以下の点を明らかにした。 1.α-defensin-1、β-defensin-2に比べ、我々の検討したラクトフェリンペプタイド(Peptide 2)はカンジダ菌、アスペルギルス菌の双方に対し、強い抗菌作用を示した。 2.各々の抗菌ペプタイドは双方の真菌の細胞壁成分(キチン、マンナン、グルカン)の合成を弱いながらも阻害したが、チトクロームP450に対する阻害作用は認められなかった。 3.各々のペプタイドは、特にPeptide 2は細胞膜の透過性を亢進することなく、細胞内のATPを細胞外に排出し、各真菌の細胞内ATPレベルを低下させた。 4.各々のペプタイドは、DNA合成あるいは蛋白合成に対する阻害作用は非常に弱く、Peptide 2のDNA結合能は認められなかった。 5.調べたペプタイドの中で、Peptide 2のみが好中球の殺菌能/活性酸素生成能を亢進せしめた。 6.各々のペプタイド、特にPeptide 2は抗真菌剤と協調し、マウスのカンジダ菌及びアスペルギルス菌感染症を制御した。 7.Peptide 2をはじめ、各defensinは抗真菌剤とは異なり、真菌の薬剤耐性遺伝子の発現に影響を与えず、さらには多剤耐性菌に対しても感受性菌とほぼ同等に作用した。 以上のことより、抗菌性ペプタイドは、抗真菌剤とは異なる次元で抗菌性を示すこと、抗菌性ペプタイド、特にPeptide2と抗真菌剤との併用が真菌感染症に有用であることを示唆している。今後、多剤耐性遺伝子に及ぼす影響、及び好中球活性化作用の解析を行う予定である。
|