研究概要 |
バイオフィルムとなって住み着く歯周病原性細菌が、様々な全身性の疾患に関わっているという根拠が示されてきている。心臓冠状帽脈狭窄部位の血管内plaque sampleからDNAを抽出しその中にperiodontal disease-associated bacteriaの16S rRNAが検出されるかPCR法によって調べた。調べた51サンプルにそれぞれPorphyromonas gingivalis、Actinobacillus actinomycetemcomitans, Bacteroides forsythus, Treponema denticolaおよびCampylobacter rectusは、22.0%,22.0%,5.1%,23.7%および15.3%検出することが出来た(Journal of Clinical Microbiology 42,1313-1315および42:4914-4915,2004)。また、P.gingivalisとC.rectusの、歯周局所材料からの検出と心冠状動脈疾患部の材料からの検出は統計学的にも有意に関連している(p<0.05)ことが分かった。本所見は、歯周病原性細菌が歯肉内縁上皮を貫通するなどして血流中に入り込んでいることを示すものと言えよう。本知見を、実験動物で実際に、歯周病原性細菌が、動脈硬化に関連するかに関する研究へと展開し、P.gingivalis,ならびにT.denticola菌体を培養したヒト臍帯血管内皮細胞(HUVEC)にin vitroで、侵入することを見出した(Report of Researches in 2002, The Waksman Foundation of Japan Inc. 2003)。さらに、ApoEノックアウトマウスに、P.gingivalis,ならびにT.denticola菌体を接種し、採取した血液中の動脈硬化促進に関連するIl-1,IL-6,TNFαならびにIFNγの量をELISA法によって調べ、両菌種の混合感染が強く循環障害に関わると考えている。
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