研究課題/領域番号 |
14370611
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
笹野 高嗣 東北大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (10125560)
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研究分担者 |
菅原 由美子 東北大学, 歯学部附属病院, 助手 (30235866)
飯久保 正弘 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (80302157)
佐藤 しづ子 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (60225274)
遠藤 康男 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助教授 (50005039)
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キーワード | 歯髄診断 / 歯髄血流 / 歯髄炎 / レーザードプラー血流計 / レーザー |
研究概要 |
歯髄炎と血流とは常に密接な関係にあり、歯髄炎の組織変化が主として脈管系の変化に起因することはこれまでの病理組織学的見地からも明らかである。したがって、歯髄血流を解析することによって歯髄炎の病態を解析することができる可能性は極めて高い。本研究は、歯髄炎の診断をこれまでとは全く異なる血流という視点から解析するものであり、患者に痛みを与えない、より正確で客観的・定量的な歯髄診断法を確立することにより、歯科臨床において最も頻度の高い歯髄炎の診断および治療の発展に寄与することを目的とする。実験方法として、ビーグル犬の犬歯に対して、様々なレベルの痛み刺激を与えて歯髄血流の変化を調べ、さらに炎症性歯髄に対しても同様の実験を行い比較検討した。歯髄血流量の測定は、今回開発した出力可変式透過型血流計を用い、レーザー出力は7mWで行った。炎症歯髄の作成は、露髄寸前まで窩洞形成を行い、2週間放置した。その結果、(1)エナメル質表層、エナメル象牙境への電気刺激により血流増加反応が認められた。この反応は、歯髄内における軸索反射性血管拡張と考えられる。 (2)象牙質露髄寸前部への電気刺激によっても血流増加反応が惹起されたが、この場合の血流増加反応は(1)とは異なり、刺激終了後もすみやかには消失しなかった。この理由として、歯髄内の血管拡張による痛みによってさらなる血管拡張(神経原性炎症)が起こったためと考えられる(歯髄充血の状態と考えられる)。 (3)炎症歯髄への電気刺激では、(1)(2)と同様に血流増加反応が生じたが、刺激を与えている間に血流の減少反応がみられた。このことは、過度の血管拡張によって歯髄内はうっ血状態となったことが考えられる。
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