研究分担者 |
高師 則行 北海道大学, 歯学部附属病院, 助手 (40312376)
戸塚 靖則 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (00109456)
宇尾 基弘 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助教授 (20242042)
横山 敦郎 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (20210627)
|
研究概要 |
[目的]微粒子の為害性に及ぼすサイズ依存性ほかをin vitroの細胞機能性試験を中心に調べた。 [方法]粒度分布の異なる粒子群から、粒度分布測定装置(購入)と比表面積測定装置(購入)でモニターしながら、沈降法により0.5,3,10μm粒子を、限外濾過法により.300nm以下の粒子を抽出し、材料間の粒子サイズを,一定に揃えた。 [サイズ依存性]Ti, Fe, Ni, TiO_2のいずれも細胞生存率およびLDH、活性酸素、サイトカインIL-1β,TNF-α放出の各種細胞機能性は特に100μm以下で顕著なサイズ依存性を示し、その範囲はナノ領域まで及ぶ。炎症性サイトカインIL-1βは典型的な単調増加依存性を示すのに対し、TNF-αでは3μm以下で急激な増加を示し、顕微鏡で観察される貧食時に伴う放出と考えられる。 [形状依存性]形状異方性の小さい塊状および針状のそれぞれ平均径、長径が0.5,3,10μmのTiO_2粒子を調整し比較した。細胞生存率、LDH、活性酸素、IL-1βからは針状のほうが刺激性が高く、TNF-αからは細胞と同等サイズの3,10μmでは刺激性、貪食能が形状に影響を受けるが、細胞よりはるかに小さな0.5μmでは影響が小さい結果が得られた。 [材料依存性]ともに生体親和性で、ICP元素分析でイオン溶出が無視できることを確認したTiと溶出するFeはよく似たサイズ依存性を示した。Niは細胞生存率が低めで、活性酸素、サイトカイン放出量が多く、顕微鏡で細胞の破壊が観察され、材料の為害性の影響と考えられる。 [細胞依存性]ヒト好中球、ラットマクロファージに比べ、ヒト歯根膜細胞もサイズ依存性を示したが、その反応の程度は相対的に低かった。 [応用研究]耐摩耗性に劣るチタンの欠点を改良するため、硬さ、耐摩耗性にすぐれたTiNに注目し、その微粒子の為害性を動物埋入試験で調べ、Tiとほぼ同等であった。チタンインプラントのアバットメント部(上皮貫通部)の超音波スケーラーによる歯石除去には表面に傷をつけないためにプラスチック製チップを用いていたが、約2μm厚の窒化チタン層を形成することにより、ステンレス製チップでも実用的に機械的研磨傷を形成せず、除去作業が可能なことが示された。
|