研究課題/領域番号 |
14370628
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
補綴理工系歯学
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
早川 巖 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (60014172)
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研究分担者 |
守澤 正幸 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (40191019)
平野 滋三 東京医科歯科大学, 歯学部付属病院, 助手 (10262205)
高橋 保樹 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (50334438)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2004
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キーワード | 無口蓋義歯 / 口腔感覚運動能力 / 咀嚼能力 / 全部床義歯 / 咀嚼効率 / 口蓋被覆 |
研究概要 |
上顎の全部床義歯では、維持力を向上するために床後縁を適切な位置まで後方に延長する必要性が説かれてきた。しかし、同時に口蓋を広く被覆することになり、かえって口腔の形態を損ない、このために機能の侵害を引き起こす可能性があった。本研究では、口腔感覚運動能力と咀嚼能力に着目し、口蓋粘膜の被覆がこれらの能力に及ぼす影響を検討した。 パイロット試験として健常有歯顎者を対象に口腔形態認識能(OSA)試験と咀嚼能力試験を行った。OSA試験では、回答に形態の類似性を基に重み付けすることによりスコア化し、その合計をOSAスコアとした。また、ピーナッツの咀嚼後の粒度分布を測定し、測定値から咀嚼効率を算出した。次いで、それぞれの関係についてSpearmanの順位相関係数を算出した。その結果、咀嚼効率とOSAスコアの間には有意な正の相関が認められ、感覚運動能力と咀嚼能力の間の相関関係が示された。 次に、健常有歯顎者を対象に、口蓋粘膜の被覆が口腔形態認識能と咀嚼効率に及ぼす影響を調べた。口蓋被覆床は厚さ約1.5mmで、アーラインまでの口蓋を覆うものとした。OSAと咀嚼効率を口蓋床の装着前、装着直後、装着3日後、および7日後に測定した。さらに、2ヵ月後、OSA試験を口蓋床未装着の状態で測定し、その3日後と7日後にも測定した。咀嚼効率に関する口蓋床装着の影響の解析には繰り返しの一元配置分散分析を、OSAスコアには繰り返しの二元配置分散分析を用い、次いでBonferroniの方法を用いて多重比較を行った。その結果、本来相関関係のあった咀嚼効率とOSAは、咀嚼効率は口蓋被覆床の装着によって有意に低下したが、OSAスコアには有意な変化は認められなかった。 以上から咀嚼機能の指標である咀嚼効率は口蓋被覆床の装着によって低下する事が明らかとなり、上顎全部床義歯の設計原則に機能回復の観点から再考が必要であることが示唆された。
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