研究概要 |
本年度は、舌圧・下顎運動・嚥下音同時測定システムのうち、舌圧測定ならびに下顎運動測定の部分の構築をほぼ終了した。まず、舌圧測定装置については、圧力分布測定システム(I-scan、ニッタ)を用いて、成人口腔の形態計測結果をもとに、多くの患者に適用可能なセンサ・シートの設計を行った。その結果、S, M, Lの3種類の寸法を設定し、厚さ0.2mm、口蓋正中部に3カ所、側方部に2カ所の感圧部を有するセンサ・シートを試作し、基礎実験を行ったところ、口腔内で十分使用が可能であり、最大150kPaの圧を測定することが出来た。現在キャリブレーション装置の製作中である。下顎運動測定については、顔面表面に標点を貼付し、正面からデジタルビデオカメラで撮影した画像を画像解析ソフトを用いて分析し、2次元的な下顎の移動量を算出する。現在、舌圧との同期性を調整中である。 また、本研究を国際的に展開するために、ライプチヒ大学ならびにマインツ大学歯学部(いずれもドイツ)に出張し、高齢者ならびに口腔腫瘍術後患者の咀嚼・嚥下障害の治療・研究を行っている機関の研究者と情報交換を行った。これによって、今後本システムを国際的に汎用性のある臨床検査機器へと発展させるための基礎資料が得られた。
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