研究課題/領域番号 |
14370631
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
小野 高裕 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助教授 (30204241)
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研究分担者 |
野首 孝祠 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (80028753)
堀 一浩 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (70379080)
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キーワード | 咀嚼 / 嚥下 / 舌圧 / 下顎運動 / 高齢者 / 摂食・嚥下リハビリテーション |
研究概要 |
本年度は、研究課題の最終年に当たり、以下のような研究を実施した。 1.前年度においてセンサシートの問題点として、封入された空気の移動により測定点によっで測定値に誤差が生じる可能性が指摘されたため、その対策をこうじたが抜本的な解決には至らなかった。しかし、キャリブレーションとイクイブレーションの新しい方法として、測定前に一定の陰圧を加える方法を試みたところ効果が得られ、計測精度の向上が図られた。 2.センサ・シートの使用方法として、口蓋床に貼付する方法に加えて、口蓋粘膜に直接貼付する方法を試み、市販のシート状義歯安定材が十分試用できることが確認された。このことによって、センサ・シートの汎用性が一層向上した。 3.健常者を対象に舌圧、咀嚼・嚥下関連筋活動、嚥下音の同時計測を行い、これらの間に一定の時間的協調性を見出すことができた。すなわち、舌圧の発生に先立って、顎二腹筋前腹が活動して舌骨および喉頭を挙上し、咬筋が活動を開始して下顎を嚥下位に誘導すること、舌圧は嚥下音の検出時よりも長く持続し、食塊が安全に咽頭を通過するまで嚥下圧を維持することが明らかとなった。したがって、本研究の最終目標である咀嚼・嚥下機能評価法の構築に向けての基本データが得られた。 4.香川県のリハビリテーション病院において、脳血管障害(CVA)の既往をもつ高齢者14名を対象にセンサ・シートによる舌圧測定を行い、同時に咀嚼・嚥下能力に関するデータを収集した。その結果、CVA患者においては若年健常者と比較して舌圧が低下していること、CVA患者の中でも天然歯列による咬合支持を有する者は舌圧が良好であること等の知見が得られた。 5.前年度得られた合意に基づき、ジュネーヴ大学歯学部高齢者歯科学講座において舌圧測定のプレゼンテーションを行い、日本とスイスの両国で高齢者の嚥下障害と舌圧との関係について研究を行うことになった。
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