研究分担者 |
西村 正宏 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (00294570)
安部倉 仁 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (30159454)
濱田 泰三 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (50034244)
川村 真弓 広島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (20346513)
|
研究概要 |
皮細胞の自然免疫の反応として、molecular pattern recognitionと言う機構があり、微生物を認識後に、白血球遊上走因子などを放出する。本研究では、歯肉上皮細胞においてグラム陰性桿菌の有するリポ多糖およびカンジダ菌体によって炎症性サイトカインの産生がどのような機構で行われるかについて検討を行い、その結果、以下の知見を得た。 1.歯肉上皮細胞は、カンジダ細胞と接触後、数時間でIL-1α、さらに6時間後にIL-8を産生する。 2.このような歯肉上皮細胞による炎症性サイトカインの発現は、カンジダの生菌のみならず、カンジダの死菌によっても誘導され、その誘導は死菌の菌数依存的であった。 さらに、歯肉上皮細胞に接種したカンジダの増殖過程を走査型電子顕微鏡で観察したところ、歯肉上皮細胞によってあたかもカンジダの菌糸体が捕らえられるような像が認められた。この状態が、いわゆるfocal adhesion様の状態と酷似していたため、以下の検討を行った。 1.リアルタイムPCRすなわち定量PCRを行った結果、カンジダの細胞およびその成分を添加した場合、歯肉上皮細胞は、IL-1α、IL-8およびICAMの発現が誘導された。 2.IL-1αによっても、ICAMおよびIL-8が誘導された。 3.さらに抗ICAM抗体でブロックを行った場合、IL-8の発現は抑制され、抗IL-1α抗体によってもIL-8の発現は抑制された。 4.抗ICAM抗体抗とIL-1α抗体を用いたWブロックアッセイの結果、ICAMによるIL-8の発現はIL-1αを介していない可能性が示唆された。 また,このような炎症性サイトカイン,特にIL-8の遺伝子上流には抗菌性ペプチドであるβデフェンシンがコードされているが,βデフェンシン-1は歯肉上皮細胞,歯根膜細胞,歯肉繊維芽細胞に恒常的に発現しており,βデフェンシン-2はLPSやカンジダマンナンによって誘導され,カンジダアルビカンスに対してより低濃度で強い抗菌性を示した.また,βデフェンシン-2の誘導に先立って,分子認識を行うToll-like receptor 2がupregulateされることが明らかとなった.
|