研究概要 |
本科学研究費では,In vitroにおいて,マウス骨芽細胞様細胞MC3T3-E1に対してガラスシリンダーで直接圧縮力を加え,RT-PCR法,cDNAマクロアレイにより遺伝子発現の変化を調べた。圧縮力を加える実験では,RT-PCR法によりCOX2(cycrooxigenase-2), c-fos, ALP(alkalinphosphatase)mRNAは,圧縮力の大きさ依存的に増加した。さらに,他の細胞C2C12細胞(マウス筋芽細胞), NIH3T3細胞(マウス線維芽細胞)においても同様の実験を行ったが,MC3T3-E1細胞と同様の結果を得た。圧縮力をかけることに対して細胞の生存率には変化がみられなかった。本年度は,骨形成関連遺伝子がスポットされてあるcDNAマクロアレイ法により,BMP4,BMP7のような,骨芽細胞の分化時に発現が上昇する遺伝子が圧縮力を加えることにより上昇し,これらのことから骨芽細胞様細胞が分化傾向にあることが示された。そして,cDNAマイクロアレイ法において,圧縮力を加えることにより特異的に発現が上昇した遺伝子を網羅的に調べた結果,Hsp25(Heat shock protein 25KDa)が発現が上昇していた。今後,Hsp25の発現に着目してHsp25が骨芽細胞の分化に関与しているかどうか追求していく予定である。また,他のメカニカルストレスとして,静磁場,微小パルス磁場に注目したが,静磁場,微小パルス磁場における実験においても,COX2,c-fos遺伝子の発現が認められた。 チタンに対する免疫応答の実験も行ったが,チタンはNi(ニッケル)に比べて免疫応答が少なく,アレルギーを起こしにくいという見解を得た。
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