研究概要 |
精優れた超弾性を示す組成65wt%Au-12Cu-23Znを母合金(硬さ(HV)平均192、引張強さ330MPa,曲げ疲労13950回)とし、結晶粒の微細化と諸性質の向上のため、これにRu, Hfを底辺の各頂点に配置し、さらにランタノイド系5系列(La, Ce, Nd, Sm, Gd)を、もう一つの三角グラフの頂点に配置し、これらの添加率を0,0.25,0.5,0.75,1.0%と変化させた15種の合金を5系列,計75種の合金を作製した。方法は一端を封じた石英ガラス管内に母合金12gを入れ、これに添加元素を0.1mg度で計量添加し、アルゴン置換して高周波誘導炉で溶解合金化した。次に、板状試料(1×10×20mm)2枚、0.7φ×50mmの棒状試料4本、5φ×5mmの円柱状試料を埋没し脱ロウした鋳型に鋳造して板状、棒状試料を作製し、疲労、引張強さ、硬さ、変色、結晶粒微細化の計謝用の試料とした。これらを軸定した結果、硬さ(HV)ではLa添加で15種総平均185,Ceで183、Ndで182.Smで182、Gdで179となり、母合金の192より軟化した。しかし、合金種によっては母合金より大きいものもみられた。引張強さではLa添加で15種総平均405MPa, Ceで305、Ndで365,Smで304,Gdで403となり、母合金の330より大きいものもみられた。疲労試験ではLa添加で15種総平均9238回、Ceで9059回、Ndで8246回、Smで10307回,Gdで8684回となった。疲労試験ではいずれも母合金の13950回より小さかった。0.1%硫化ナトリウム水溶液に3日間全浸漬した変色試験と重量変化の結果は母合金との差はほとんど認められなかった。結晶粒径ではRuやHfの単独添加ならびに、これらとCeの複合添加で微細化の効果が大きかった。一方、RuとLa, Ce、Gdの各0.5%複合添加組成でも微細化が見られた。しかしLa、Ce, Sm, Gdのみの単独1%添加では微細化せず母合金より大きくなり、巨大な単結晶化の方向に向かう傾向が見られた。今回の実験を再度、繰り返し行い実験精度を上げる予定である。
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