研究課題/領域番号 |
14370651
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
葛巻 暹 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 教授 (80091445)
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研究分担者 |
千葉 逸朗 北海道医療大学, 歯学研究科, 教授 (50250460)
瀧本 將人 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 助教授 (30179585)
中川 宏治 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 助手 (80360949)
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キーワード | RAS癌遺伝子 / 抑制変異体 / 口腔癌 / 遺伝子治療 |
研究概要 |
本年度は、RAS癌遺伝子に対する抑制変異体N116Yを腫瘍特異的かつ強力にヒト舌癌に作用させるための基礎実験として、舌癌において発現し正常細胞では発現していないテロメラーゼ触媒サブユニットhTERTプロモーターを用いるために、バクテリオファージP1由来の配列特異的組換え酵素Creとその特異的組換え配列loxPから成るCre/loxPシステムによりベクターに存在する2つのloxP配列間での特異的組換えをおこすアデノウイルスベクター二重感染法の樹立を試みた。そして、hTERTプロモーターの制御下にCre組換え酵素を発現するアデノウイルスAd.hTERT-Cre、Cre組換え酵素の存在下でCAG(cytomegalo virus enhancer、chicken beta-actin promoter、rabbit beta-globin polyA)プロモーターの制御下にレポーター遺伝子としてのLacZを発現するアデノウイルスAd.CALNLZを作製した。hTERTプロモーター活性陽性ヒト舌癌細胞株(HSC3、HSC4およびSAS)に、Ad.hTERT-LacZを単独感染あるいはAd.hTERT-CreとAd.CALNLZを二重感染させ、LacZ活性を化学発光アッセイにより遺伝子発現を検討した。3種のヒト舌癌細胞株において、hTERTプロモーター活性特異的アデノウイルスベクターの二重感染法において、単独感染法に比べ約20-40倍のLacZ発現増強が観察された。以上の成績からhTERTプロモーターとCre/loxPシステムを用いたアデノウイルスベクター二重感染法は、舌癌に対して遺伝子発現を増強させ、N116Yを用いた遺伝子治療法への応用の可能性が示された。
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