研究概要 |
今年度は,同意の得られた患者6例(下顎歯肉癌3例,舌癌,上顎歯肉癌,下唇癌各1例)に対し,本手法によるナビゲーション・サージエリーを施行した.いずれも臨床診断は,T2〜4,N0〜2であり,リンパ節摘出術予定の1例を除き,全頸部郭清術が計画されている症例であった. 手術24時間前に腫瘍周囲に2〜4か所99mTc標識フチン酸2mCiを注入.その1,2,3,4,12時間後にガンマカメラによる頭頸部の撮影を施行.手術中にシングルプローブ・シンチレーション・カウンターによる所属リンパ節の走査,手術後に摘出手術材料の検討を行った その結果,ガンマカメラによる撮影では,注入後1時間で所属リンパ節への集積が認められ,その集積は12時間後まで持続していた.問題点として注入した原発部位と所属リンパ節が近接しており,原発部位の放射線に対する遮蔽に工夫が必要とされた.手術中の所属リンパ節の走査では,5例においてセンチネルと思われるリンパ節における反応の検出は可能であり,このような場合,センチネルリンパ節および下流のリンパ節での転移は,病理組織学的に認められなかった.1例では,センチネルリンパ節と思われるリンパ節に転移が成立していたが,このリンパ節での反応は低かった.転移リンパ節では,RIの取り込みが低いため,さちに下流へ流出しているものと思われた. さらに症例をかさね,口腔癌におけるセンチネルリンパ節の同定を進める予定である.
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