研究概要 |
癌の外科療法の際,センチネルリンパ節を検討することによる縮小手術が望まれている.そこで口腔癌においてセンチネルリンパ節理論が適応できるかを検証することを目的とし,リンパ節シンチグラフィおよびナビゲーション・サージェリーによるセンチネルリンパ節の検討を行った. 対象は,同意の得られた口腔癌患者7例で,原発部位は,下顎歯肉5例,舌,上顎歯肉,各1例,T2:2例T4:5例であった.所属リンパ節は,NO〜2cで,全例に頸部郭清術を施行した.手術前日,腫瘍周囲に^<99m>Tc標識フチン酸2mCiを注入.経時的にガンマカメラによるリンパ節シンチグラフィを施行.術中にシングルプローブ・シンチレーション・カウンターによる所属リンパ節の走査,手術後に摘出材料から得られたリンパ節のRI取込量測定および病理組織学的検討を行った. フチン酸の動態は,6例で注入後1時間からリンパ節へ集積し,20時間後においても同様であった.検出不可能であった1例は,原発巣が下顎歯肉のT4症例で,センチネルリンパ節が顎下部であったため,検出できなかった.術中ナビゲーションでは,全例において顎下,上深頸リンパ節に反応した.摘出材料のRI取込量は,2例で測定を行い,センチネルリンパ節では他のリンパ節の2倍以上の取込量を示した.病理組織学的には,4例はセンチネルを含む全リンパ節において転移は認められず,2例はセンチネルリンパ節のみの転移を認め,うち1例は,郭清範囲の下流に後発転移を認めた.また,1例ではセンチネルリンパ節の下流にも転移を認めた. 以上,^<99m>Tc標識フチン酸を用いた口腔癌センチネルリンパ節の検討の結果,リンパ節シンチグラフィと術中ナビゲーションを併用することによりセンチネルリンパ節を的確に同定可能であった.口腔癌では顎下リンパ節がセンチネルとなり,頭頸部のセンチネルリンパ節理論が成り立つ可能性が示唆された.
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