研究課題/領域番号 |
14370665
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
瀬尾 憲司 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (40242440)
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研究分担者 |
藤原 直士 新潟大学, 医学部, 教授 (70181419)
前田 健康 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (40183941)
馬場 洋 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (00262436)
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キーワード | trigeminal / nociception / development / substance P / NK1 receptor / caudalis / paresthesia / Current perception threshold |
研究概要 |
三叉神経の侵害性求心性活動が引き起こす中枢神経内の神経興奮伝達様式の変化について基礎的または臨床的な研究を加えて、神経損傷後にみられる異常感覚の発生のメカニズムについて考察を加えた。 三叉神経末梢枝に加えられた神経損傷は、その損傷部位から障害電流を生じさせてそれを延髄での中継核である三叉神経脊髄路核尾側亜核に送り、同核内において興奮伝達様式の変化をもたらすことを今までに報告した。そこで今回はそのメカニズムに関与する因子について検討した。高速光学的膜電位画像解析法により神経ペプチドであるサブスタンスPやグルタミン酸がその伝達または変調を引き起こす物質として、それぞれNK1受容体、NMDA受容体を介して興奮伝達機構の変調を引き起こすことが認められた。さらにこれが動物の生後発達において特異な分布様式の変化をもたらすことも認められた。すなわち出生直後では尾側亜核の浅層と深層に多くのサブスタンスPの分布が認められるが、浅層部分は成長に伴う変化が見られないのに対して、深層部分の分布は消失する。 臨床的観察では健康成人と外科的顎矯正術を受けて異常感覚を生じた患者で知覚機能の変化を比較検討した。測定には求心性線維のAβ線維、Aδ線維、C線維の閾値を別々に測定することによってそれらの伝達障害を調べるCurrent Perception Thresholdを用いた。その結果、術後に異常感覚の発生には一般的には有髄線維が、また一部の異常感覚の発生には無髄線維の関与が示唆された。したがって、無髄線維の中枢端に含まれる神経ペプチドは術後の神経障害の発生に何らかの関与を持つことが示唆された。 以上により、三叉神経の末梢枝における神経損傷は神経ペプチドに関与してその異常感覚の発生や痛覚伝達機構に変化をもたらすことが示唆された。
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