研究課題/領域番号 |
14370670
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
外科系歯学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
加藤 逸郎 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (60314390)
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研究分担者 |
櫻井 良憲 京都大学, 原子炉実験所, 助手 (20273534)
由良 義明 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (00136277)
中澤 光博 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (70217701)
小野 公二 京都大学, 原子炉実験所, 教授 (90122407)
古林 徹 京都大学, 原子炉実験所, 助教授 (90089136)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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キーワード | ヒト口腔扁平上皮癌 / BNCT / BPA / BSH |
研究概要 |
本研究では、当科で樹立している高悪性のヒト口腔扁平上皮癌株FI及びその担癌ヌードマウス実験モデルを用い、以下の研究成果を得た。(1)BSHまたはBPAを用いたBNCTは、in vitroでFI細胞に対し共に強い殺細胞効果を示した。特にBPAの効果はBSHの約10〜20倍だった。in vivoにおいて(2)BPA250mg/kg投与2時間後に、腫瘍内^<10>B濃度:16.0PPm、腫瘍組織と正常組織の濃度(T/N)比:4.2と共に最大値(ピーク)となった。一方BSH75mg/kg投与ではそれぞれ3-6ppm、T/N比:0.9-1.2で経時的に明らかなピークは認めなかった。(3)腫瘍中で最大濃度となる2時間後の各臓器濃度は、BPAでは、腫瘍(3.0)>舌(1.9)>顎下腺(1.6)>肺(1.5)>肝臓(1.4)の順に高かった(c.f.BSH:舌(2.3)>肺(1.7)>腫瘍(1.5)>顎骨(1.3)>顎下腺(1.3)>リンパ節(0.75))。(1)-(3)より、BNCTを口腔癌に適応する上では、腫瘍組織と周囲組織(舌、顎下腺、顎骨)中のT/N比の大きいBPAの方が有利と思われた。上記データを基に担癌ヌードマウスに対するBNCTによる治療実験を実施すると、BPA250mg/kg投与2時間後、70分照射群(平均中性子フルエンス:75xE12n/cm2)で、完全治癒が達成できた。しかし、他の条件下やBSH-BNCT群では完全治癒しなかった。γ線10-20Gy照射群では殆ど腫瘍の増殖抑制効果は見られなかった。(4)BPA-BNCT群ではまた、FI担癌マウスに見られるcachexiaやLeukocytosisなどの腫瘍随伴症候群の症状を改善した。即ちBPA25mg/kgまたはBSH0.75mg/kgの少量投与-照射群では、一旦縮小した腫瘍が再増殖する為、非処置群と各群の腫瘍体積に差がないにもかかわらず、マウスの体重減少及び白血球増多症(腫瘍単位体積当りの血中白血球数)は、BPA-BNCT群で改善した。(5)頭頸部進展例モデルの頬部担癌ヌードマウス実験においても、BSH-BNCT群は、非処置群と有意差がなかったが、BPA-BNCT群は腫瘍体積で約3週間、生存期間で約7週間延長できた。また、副作用としては、口内炎は特に明らかでなかったが、長期生存したマウスでは、治療後6ヵ月頃より、白内障が認められた。以上の結果より、頭頸部癌においてもBNCTは有効であることが示唆された。
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