研究概要 |
2004年度も2003年度と同様にパッチクランプ法により、三叉神経運動核内のmotoneuronの膜電位を捕らえ、様々な刺激によって起こる変化を観察した。培養脳幹の作成法は既に報告しているごとくであるが、以下の3種類のpreparationを用いて実験を行い、次の結果を得た。 1.運動核以外の組織を除去した場合(NOSP)においては、N-methyl-D, L-aspartic acid (NMA)とbicuculline methiodide(BIC)によって刺激をおこなっても、膜電位はリズミカルな活動を示さず、トニックなバーストを示すのみであった。 2.三叉神経運動核を含む全体の冠状断スライス(厚さ400μm)(WSP)ではNMAとBICの刺激によってリズミカルな活動が得られた。 3.三叉神経運動核とその周辺300μmの組織をふくむ標本(ISP)でもNMAとBICの刺激によりリズミカルな活動が観察された。 4.2、3の活動は還流液を低カルシウム還流液に変えると消失した。通常の還流液に戻すとリズムが回復することも観察された。 以上の結果はWSPとISPではpremotoneuronからの神経伝達により三叉神経運動核でリズミカルな活動が起こされることを示している。また周辺300μの組織がそのpremotoneuronの役割をなすと考えられた。現在その役割をなすpremotoneuronを検索中である。
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