研究概要 |
新生児ラットからの培養脳幹の手法を用い、三叉神経運動核内のmotoneuronの膜電位を捕らえ、様々な刺激によって起こる変化を観察した。3種類のpreparationを用いて実験を行い、次の結果を得た。 1.三叉神経運動核以外の組織を除去した場合(NOSP)においてはN-methyl-D,L-aspartic acid(NMA)とbicuculline methiodide(BIC)によって刺激をおこなっても、膜電位はリズミカルな活動を示さず、トニックなバーストを示すのみであった。2.三叉神経運動核を含む全体の冠状断スライス(厚さ400μm)(WSP)ではNMAとBICの刺激によってリズミカルな活動が得られた。3.三叉神経運動核とその周辺300μmの組織を含む標本(ISP)でもNMAとBICの刺激によりリズミカルな活動が得られた。これらの結果からWSPとISPではpremotoneuronからの神経伝達により三叉神経運動核でのリズミカルな活動が起こされることを示している。周辺300μmの組織がペースメーカーの役割をなすと考えられた。 そこでパッチクランプ法を用いて周辺組織内のpremotoneuronの膜電位の変化を観察し、premotoneuronが3群に分かれた。1.膜電位から持続的なスパイクがトニックとも言える状態で得られた。2.不規則なスパイクの間隔を示した。3.リズミカルなスパイクを示した。3の結果を示したpremotoneuronはregio-Hと呼ばれる領域、三叉神経中脳路核内、その他三叉神経運動核に接する領域に存在した。 咀嚼だけでなく嚥下運動についても培養脳幹を用いて検討した。その結果嚥下運動時の呼吸抑制効果はadrenergic receptorが関与していることが明らかとなった。
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