研究概要 |
気孔径1.0mm,0.8mmの気孔径の異なるアパタイト焼結体ブロックを作製し,ウサギの大腿骨に形成した骨欠損に埋入12週後に気孔内の骨形成状態を検討した.その結果気孔径の違いにかかわらず気孔内でその多くの部位で骨が結合組織を介さずに直接アパタイト焼結体と接しているのが確認された.しかし気孔径の相違による気孔内の骨形成量に違いは認められなかった.すなわち骨芽細胞の気孔内への進入には少なくとも気孔径1.0mm,0.8mmでは違いがないと考える.そこで実験は気孔径0.8mmを使用した.ウサギの腸骨より骨髄を採取し数回継代培養し後,alkaline phosphate(ALP) activityを測定したところALP活性の増強を認めた.よって骨髄間質性細胞が骨芽細胞へ分化したと考えられる.上記実験結果から,腸骨より採取したBMSCを継代培養し骨芽細胞に分化させ増殖させてからフィブリノーゲンと懸濁し気孔径0.8mmの連続気孔性アパタイトに添加した.さらに継代した後実際にアパタイト焼結体に付着しているのを顕微鏡下で確認した.そこで,ラビット下顎骨下縁に形成した骨欠損部にすでに継代培養したBMSC含有連続気孔性アパタイト焼結体を埋入した,一方controlとして反対側にBMSC非含有連続気孔性アパタイト焼結体を同様に埋入した.そして6ヶ月後,12ヶ月後に組織学的に骨再生量を評価した.その結果,6ヶ月,12ヶ月において骨欠損部に再生した骨量に両者に有意な差は認められなかった.その解釈としては,BMSCを含有させる効果はもっと早期に関係してくるかもしれないと考えられる.さらに骨芽細胞の量の問題があり,骨芽細胞が実際アパタイトブロックに十分量付着していたかは今後の追試が必要になってくると考える.
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