研究概要 |
初年度につき検体の準備と手技の確立に重点をおいた。検体は口腔癌細胞株とその上清ならびに経時的な(治療前後,完治,再発)患者の唾液と血清である。癌細胞株に関しては当科で樹立した口腔癌細胞株のクローニングをした後,ヌードマウスに同所性移植することにより転移性癌細胞株か非転移性癌細胞株かの性状を明らかにした。購入した口腔癌細胞株(3種類)も同様の手法にて転移性か非転移性かを明らかにした。従来我々は舌癌の動物モデル系しか行ってなかったが,今回歯肉癌の動物モデル糸を確立した。また新たに癌細胞株を2種類樹立した。これらの癌細胞株とその上清のプロテオーム解析を行った。二次元電気泳動法の解析ソフトに問題点があったので,銀染色法を併用し改善させた。先ずウェスタンブロット法にて解析可能なタンパク質を同定した。同定できなかったタンパク質に対し,現在質量分析法にて解析を行っている。唾液のプロテオーム解析は食べ物の影響を克服するために,我々の唾液(絶食時・歯磨剤使用時と使用しない状態での歯磨き後の状態・食後うがいのみの状態)を使用し,二次元電気泳動法による解析を行い,検体採取時の条件ならびに食べ物により出現するタンパク質のバンドを検証した。現在この条件のもとに経時的に患者の唾液を集めているところである。また患者の経過時的血清を採取し,上記癌細胞株にて同定したタンバタ質の血清中の発現を検討しているところである。
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