研究概要 |
Cadherin familyであるE-cadherin,α-catenin,β-cateninの免疫組織学的発現を口腔扁平上皮癌の原発巣において検索し、これと臨床病理学的所見との関連性を検討した。これら3つの因子は臨床stage、頸部転移リンパ節の有無、組織学的癌浸潤度と有意に相関し、3因子の蛋白発現は、臨床stageの高度な症例群、転移リンパ節を有する症例群、癌浸潤度の高度な症例群で減少していた。5年累積生存率はこれらの因子の発現が減少している症例群で、減少していない群に比して有意に低く、E-cadherin,α-catenin,β-cateninの蛋白発現が各々独立した予後因子となることを見いだした。 口腔癌細胞における上皮細胞から間葉系細胞への変換(Epithelium-mesenchyme transition ; EMT)について、5種類の口腔癌由来の株細胞で検索した。1種類の株細胞で、TGF-βを添加することにより、細胞の形態が敷石状から紡錘形に変化した。この株細胞は他の株細胞に比して、sanilの発現が高く、E-cadherinの発現が低かった。以上より、口腔癌細胞には症例間にheterogenietyがあり、EMTを起こす症例もあり得ることが示唆された。 Rb2/p130の口腔癌組織、口腔癌由来株細胞におけるmutationを検索したが、検出され得なかった。
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