研究概要 |
口腔癌株細胞(OSC-19,OSC-20,OSC30,OSC-40,OSC-70)におけるタイト結合因子、occludin, claudin-1(CL-1), claudin-4(CL-4), claudin-7(CL-7), ZO-1の発現を免疫染色を行って検索した。CL-1は、OSC-20,OSC-40の一部の細胞のcell borderに陽性反応が認められた。CL-4はOSC-19, OSC-30で一部の細胞のcell borderにドット状の陽性反応を認めたが、その染色強度は弱かった。CL-7はOSC-19, OSC-30の細胞質に弱い陽性反応を認めたが、OSC-20では陰性であった。OccludinはOSC-40の一部の細胞にドット状の陽性反応がみられ、細胞質にも弱い陽性反応がみられた。ZO-1はいづれの株細胞においても、他のタイト結合因子に比してcell borderに残っている部分の割合が高かった。全般的には、形態的に上皮様の形がより明確であったものは、snailの発現が低いと思われ、その結果、免疫染色において、上皮の特性を多く残し、タイト結合因子が多く認められた。 口腔癌におけるRb2/p130の蛋白発現については、臨床経過の良好な症例に多くみられたが、その局在を免疫電子顕微鏡学的に検索した。その結果、核、ミトコンドリアに局在し、その局在様式は正常細胞におけるものと異なっていた。 口腔腫瘍の中には、石灰化物がみられるものもあり、この発生機序を検索する目的で、口腔領域に生じた唾石について検索したところ、石灰化はミトコンドリア、ライソゾームを核として発生することが示唆された。 口腔領域の悪性黒色腫について、臨床的に検討した。その結果、口腔扁平上皮癌に比して、浸潤、転移しやすく、5年生存率は低かった。治療法では、外科療法、或は外科療法+放射線療法が効果的であった。本腫瘍の治療効果を向上させるには、早期発見が重要であり、病理組織学診断には従来の方法に加えて、HMB-45を用いた免疫染色や電子顕微鏡的検索は重要となることが示唆された。
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