研究概要 |
口腔癌の微細構造において、転移のみられた群では、微絨毛様突起が発達しており、デスモゾームは少なく、細胞増殖のマーカーであるTransferrin receptorが細胞膜、特に微絨毛様突起に局在していた。 口腔癌における各種遺伝子のmethylationを検索したところ、MINT1,MINT31のmethylationのみられた群では有意に臨床経過が不良であり、p14ARFのmethylationのみられた群では臨床経過が良好であり、多変量解析の結果、MINT31のmethylationが独立した予後因子であることが見いだされた。 口腔癌においてRb2/p130の蛋白発現は、臨床経過の良好な症例群に有意に多くみられ、これが独立した予後因子であることが見いだされた。 細胞接着因子であるE-cadherin,α-catenin,β-cateninの口腔癌の原発巣の蛋白発現を検索したところ、これらの蛋白の発現は臨床stageの高度な症例群、頸部転移リンパ節のみられた症例群、組織学的浸潤度の高度な症例群で有意に減少しており、さらにこれらの因子の発現している症例群は発現していない症例群に比して臨床経過が良好であり、E-cadherin,α-catenin,β-cateninの蛋白発現が各々独立した予後因子であることを見いだした。 CHFR遺伝子のmethylationを検討したところ、検索した癌株細胞の45%、人癌では頭頚部癌の30%、大腸癌の40%、大腸腺腫の53%でmethylationがみられた。微小管阻害剤(microtubule inhibitor)を癌細胞に作用させると、CHFRのmethylationが起きた細胞は高度な分裂指数(MI index)を有しており、CHFRの不活性化が細胞分裂に関連していることが示唆された。 p53遺伝子のmutationは口腔癌症例の臨床経過の不良な症例群に多く認められた。
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