研究概要 |
本年度は,頭頸部癌細胞に由来するα-NaGalaseの精製を行った.唾液腺癌由来細胞をホモジナイザーで破砕し,12,000×g,4℃で10分間遠心分離して得られた上清を細胞抽出液として実験に供した.培養上清と細胞抽出液中の蛋白を,70%飽和硫酸アンモニウムで沈殿させ,50mMクエン酸ナトリウム緩衝液(pH4.2)に溶解し4℃で透析した.透析した酵素標品にp-nitrophenolで標識した酵素基質を5μmol/mlで添加して反応を開始した.37℃で60分間反応させた後,10%トリクロロ酢酸を加えて反応を停止させた.放出された.p-nitrophenol量は420nmで分光光度計により測定した.蛋白濃度はBCA法で測定した.透析したHSG抽出蛋白を,0.05Mクエン酸ナトリウム(pH5.0)で平衡化したDEAEカラムに添加し,担体に結合した蛋白をNaClを含む0.05Mクエン酸ナトリウム緩衝液(pH5.0)で溶出させ,95フラクションに分画した.exo-α-NaGalase活性を示す分画をゲル濾過カラムに添加し,exo-α-NaGahse活性の高い分画を採取し濃縮した.イオン交換クロマトグラフィーとゲル濾過クロマトグラフィーを用いて精製した唾液腺癌由来α-NaGalaseの分子量は48kDaであった.本酵素は,pH4.2においてexo-α-NaGalase活性とともに,endo-α-NaGalase活性(32.0%),α-galactosidase活性(5.0%)を示した.本酵素をマクロファージ活性化因子に作用させたところ,その生物活性は低下した.現在,本精製蛋白のポリクローナル抗体を作製し,クローニング中である.
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