研究課題
基盤研究(B)
(1)正常咬合を有する成人および骨格性下顎前突症を有する成人について、ガム咀嚼時における下顎の3次元運動の制御特性を定量的に評価した。咀嚼サイクルの閉口相において、骨格性下顎前突症患者の咀嚼運動は、正常咬合者と比べて、高い正規化ジャークコスト、運動時間の延長およびピーク速度の減少が認められた。これにより正常咬合者の咀嚼運動は骨格性下顎前突症患者と比べて、効率よく円滑に行われていることが示された。(2)咀嚼運動軌跡の99%は、各サイクルについて任意の平面上の2次元成分で説明できることが明らかとなった。前歯部に交叉咬合を有する症例の治療前後について、この平面の傾きの分散と、運動軌跡の曲率の分散を比較したところ、治療後有意に減少したことから、交叉咬合を治療することで、咀嚼運動がパターン化することが示唆された。最小分散理論より、矯正治療による運動の変動の減少は運動円滑性が向上した結果であることが示唆できた。(3)日本語文音読時の下顎運動の正規化ジャークコストを計算することができる解析方法を新たに考案し、本ジャークコスト計算アルゴリズムの妥当性を示した。(4)顎関節症を有する患者の咀嚼運動軌跡について、最小ジャークモデルを適用して解析的なシミュレーションを行ったところ、モデルの予測精度は、正常咬合者の行う咀嚼運動に対して行ったシミュレーションの予測精度よりも有意に低いことが分かった。従って、顎関節症を有する患者の咀嚼運動は、正常咬合者が行う咀嚼運動と比べて円滑ではないことが示唆された。またこれらの相違は咀嚼運動の開口相にて明らかであることが分かった。(5)骨格性下顎前突症の1症例や前歯部の咬合干渉を有する前歯部叢生の1症例について、治療の前後で咀嚼運動の正規化ジャークコストや、最小ジャークモデルにてシミュレーションを行った時のモデルの予測精度を比較した結果、予測誤差や正規化ジャークコストは、治療前には正常咬合者よりも有意に高い値を示していたが、治療後には正常咬合者についての値とほぼ一致するまでに低下した。以上の結果から正規化ジャークコストや最小ジャークモデルによる運動軌跡の予測誤差は、矯正治療善後における咀嚼運動効率の向上を客観的に評価できる指数として用いることが十分可能であることが明らかとなった
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