研究概要 |
本研究は,各種口腔内装置表面にプラズマベースのフッ素イオン(Ar+F_2,CF_4)を注入することにより、口腔内細菌を付着させにくい表面に改質することを目的としている。 これまでに、純チタン(Ti)、ステンレススチール(SUS 316L)、PMMAレジン(PMMA)およびシリコンラバー(SiR)の各試料表面にAr+F_2あるいはCF_4によりフッ素イオン注入した試料を調整した。 フッ素イオン注入条件は、TiおよびSUS 316Lでは5keV、PMMAおよびSiRでは3keV、注入時間は共に60分である。 イオン注入したフッ素の深さ方向の分布を、二次イオン質量分析法(SIMS)で測定した。スパッタは2keVで加速されたセシウム・イオン銃を用いて行った。スパッタ率はSIMS終了後に段差計を用いて計測した深さを、スパッタ時間で割ることによって計算した。注入深さは、上記スパッタ率を一定としてスパッタ時間によって計算した。各試料の測定結果の代表例を次に示す。SiRは弾力が強いためSIMS分析後の深さが測定できなかった。そのため、深さはnm表示はできず、セシウム・イオン照射時間で表示した。 (1)Ti : Ar+F_2約90nm、(2)Ti : CF_4約300nm、(3)SUS 316L : Ar+F_2約150nm、(4)SUS 316L : CF_4約250nm、(5)PMMA : Ar+F_2約200nm、(6)PMMA : CF_4約800nm、(7)SiR : Ar+F_2約2000秒スパッタ分、(8)SiR : CF_4約1000秒スパッタ分 平成14年度は試料作製にほとんどの時間を費やした。今後,歯ブラシ摩耗による表面荒さ、表面の濡れ接触角、細菌付着性等について明らかにする。
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