研究概要 |
本研究は,咬合誘導装置,歯科矯正装置,義歯などの各種口腔内装置表面にプラズマベースのフッ素イオン(Ar+F_2,CF_4)を注入することにより,口腔内細菌を付着させにくい表面に改質することを目的としている. これまでに,純チタン(Ti),ステンレススチール(SUS316L)およびPMMAレジン(PMMA)の各試料表面にAr+F_2あるいはCF_4によりフッ素イオン注入した試料を調整した.フッ素イオンの注入条件は,TiおよびSUS316Lでは5keV, PMMAでは3keV,注入時間は共に60分である. イオン注入したフッ素の深さ方向の分布を,二次イオン質量分析法(SIMS)で測定した.スパッタは2keVで加速されたセシウム・イオン銃を用いて行った.スパッタ率はSIMS終了後に段差計を用いて測定した深さを,スパッタ時間で割ることによって計算した.注入深さは,上記スパッタ率を一定としてスパッタ時間によって計算した.次に,イオン注入した試料表面の接触角および表面荒さを測定した. 結果は次のとおりであった. 【table】 上記の結果は2004年3月10日第82回IADRにおいて発表した(JDR, vol.83,Special Issue A,0113). 平成16年度は,フッ素イオンの注入深さの再現性を検討するため,平成15年度末に実施したSIMS分析結果をまとめる.また平成15年度に準備した細菌付着性試験を実施する.
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