研究概要 |
スライディングメカニクスと骨に固定源を求めるインプラント矯正を組み合わせることにより,歯の3次元的移動を正確に、短期間で達成できる治療システムの開発を目的とし、平成14年度より、生体変位測定法を用いて、種々の荷重条件下での上顎前歯の初期変位動態を解析してきた。平成17年度においては、得られた最適荷重条件の設定を臨床に応用し、治療結果を治療前後に採得した歯列模型をもとに、評価を行った。非接触・高速3次元形状計測装置(VMS-150R-D、ユニスン社)を用いて,矯正治療中の歯の三次元的動態を計測し,初期動態との比較を行った.歯列模型データの重ね合わせ法を用いた歯の移動量算出および動態解析は,三次元データ解析ソフトウェア(SURFACER-PRM, Imageware社)を用いた。その結果、矯正学的な歯の移動に伴い、前歯の傾斜移動の程度に応じて、力系がわずかに変化し、初期変位より予想された歯の移動動態にも影響することが示唆されたため、力系の設定を変更し,治療目標位置へ最短距離での歯牙移動を実現した.以上の手順を3か月ごとに繰り返し,歯牙移動のモニタリングおよび再評価を行った。矯正力による歯の移動動態をきわめて高い精度で解析することが可能となり,荷重条件と歯の変位動態の関係を明らかにすることにより,歯の移動予測,最適な矯正力系の設定が行えるようになった.今後、さらに数多くの患者を対象に臨床データを蓄積し,evidenceにもとづいた効率的歯牙移動メカニクスを確立したい。
|