研究課題/領域番号 |
14370701
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研究機関 | 東京歯科大学 |
研究代表者 |
水口 清 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (00133380)
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研究分担者 |
羽賀 俊明 東京歯科大学, 歯学部, 助手 (80287185)
花岡 洋一 東京歯科大学, 歯学部, 助教授 (30180912)
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キーワード | mtDNAのCoding region多型 / ミトコンドリアDNA多型の系統 / Y染色体DNA多型 / Y染色体上Alu配列 / Y染色体多型の系統 / アジア人集団の比較 / PCR法 / 法歯学的個人識別 |
研究概要 |
MtDNAのcoding領域の17領域につき既報の塩基配列データを元に、SSCP法とsequencingにより211人の資料につき多型を検索した。その結果、すでに前年度の結果で33のsub-groupに分かれていた日本人のmtDNAの系統が、51に分類可能であることがわかった。特に日本人の30%を占めるD4系統は3系統に分類されていたものが11系統に分かれた。今回の結果を中国人のデータと比較したところ、日本人または中国人に偏った系統が多く存在し、mtDNA多型は個人識別のみでなく、日本近隣の集団と日本人を識別するための手段としてさらにその有用性が増した。XおよびY染色体上に極めて類似した塩基配列を持つ領域として存在する47z領域内のAlu配列内に、数多くの多型部位が存在することを見い出した。255例の日本人男性試料について検討したところ、約300bpの領域内に32箇所の塩基配列多型が存在し、28型に分かれ、gene diversityは82.6%と算出された。さらにこれらの多型をbiallelic bmarker-の系統と比較したところ、24型は単一の系統に相当することがわかった。Yのbiallelic bmarkerの系統を決定するためには数多くのmarkerを検査する必要があるが、本多型を用いることでわずか2回のPCRで90%以上の試料の系統を決定することができる。法歯学的な物体検査では、高度に変性したり、わずかな資料から少ない回数で結果を得る必要がある場合がしばしばあるが、47zのAlu配列多型はこのような際に極めて有用性が高い。本多型はヒトのAlu配列で、点突然変異と常染色体との遺伝子交換により高度の多型性を獲得したことを証明した最初のものである。以上の如く本年度の研究結果から、mDNAとY染色体多型の法歯学的個人識別および対象者の地理的な起源の推定の精度がさらに向上した。
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