研究概要 |
1.ホルマリン固定抜去歯と新鮮埋伏抜去歯のエナメル質へのフッ素の取り込みの違いをみるために,抜去歯を蒸留水またはリン酸酸性フッ化ナトリウム溶液に5分間浸漬後、37℃の恒温槽に24時間蒸留水(100cc)に浸漬し、同様な作業を5日間行った後EPMA分析を行った。その結果、リン酸酸性フッ化ナトリウム溶液に5分間浸漬した新鮮埋伏抜去歯群の方が、ホルマリン固定抜去歯群より、フッ素の取り込みが多いものが多かった。 2.フッ素徐放性の歯科材料のリチャージングを検討するため、市販されているフッ素配合、またはフッ素徐放性材料の溶出フッ素量を1,2,3,7,21,28日浸漬後,各浸漬液をフッ素イオンメーターを用いてフッ素イオンの測定を行った。その結果,コンポジットレジン(4種類)は、1日目ではユニフィルFが最も多く,クシーノCF、ウェーブの順であった。2日目以降のウェーブはほとんど測定不能なほど徐放量は低かった。3週目以降、ユニフィルFとクシーノCFは徐放量にほとんど差異はなかった。また、プログレスには、フッ素の溶出はみられなかった。レジン系小窩裂溝填塞材(3種類)は、ティースメイトF1が最も高い徐放量を示し、次いでフルオロシーラントであった。コンシールfはフッ素の溶出はみられなかった。グラスアイオノマー系小窩裂溝填塞材のフジIIILCは、レジン系材料に比べると非常に高い徐放量を示した。 3.レーザーおよびフッ化物を用いて初期齲蝕の白斑を消失させるための再石灰化処置法を確立するために、まず、白斑の診断にQLF, Inspector Research Systemが応用できるかどうか、マイクロデンシトメーターと比較して検討した。その結果,今後表層下脱灰病変を評価していく上で、QLFシステムがマイクロデンシトメーターに代わる診断方法と思われた。
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