研究概要 |
既存のモーションキャプチャシステム(MCシステム)はカメラ固定方式のため,対象の動作は特定方向からしか撮影できなかった.本研究で開発したMCシステムは,カメラ(2台以上)の独立な移動を可能にし,また無線LANによる映像の転送を実現することによって,撮影方向の自由度を増大させ,さらに遠隔地におけるデータ取得を可能にした.また本システムの性能を実験的に検討し,その有効性を確認した.本システムによれば,家庭で取得した歯磨き動作の映像をオンラインで病院に転送し,解析・評価することが可能になる. 次いで、多様な動きを行う人の3次元モデルを,複数の基本動作モデルから生成し,それを表現する手法を開発した.本法は,独立に3次元復元された,異なる動作の3次元座標データを用いて,平行移動,回転,スケーリング,補間の各処理により,それらの動作を滑らかにつなぎ合わせる.実験では,「手を振る」,「椅子から立つ」,「前に歩く」の3動作を独立に復元したあと,それらを滑らかにつなぎ合わせた連続動作をディスプレイに表示させた.本法は,多種類の歯磨き動作を個別にモデル化し,それらを滑らかにつなぎ合わせた連続動作モデルの生成と表示に応用できる. MCシステムによって3次元復元された人の歩行動作について,膝関節角,肘関節角,上腕角,手・足の移動距離,歩幅等の変化を統計的に解析し,はだしの場合,およびヒールつきの靴の場合の歩行動作の特徴との対応を検討した結果,膝関節角および上腕角に特徴の現れることがわかった.今後被験者数を増やして,この傾向の一般性を検討する予定である.
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