研究概要 |
環性構造を持つ7-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタンアミドは結晶構造において窒素ピラミッド型構造をとる。本研究では、アミド窒素ピラミッド化の一般性についての知見を得るために温度可変ダイナミックNMRの手法を用いて様々な単環性及び2環性アミドの溶液中におけるアミド結合回転障壁を測定した。その結果、7-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン骨格を有する2環性アミド化合物において顕著な回転障壁エネルギーの低下が見られ、本アミドの2重結合性の低下、すなわちアミドの平面性が減少している事が示唆された。窒素ピラミッド化が起こっているアミド化合物では同時にアミド結合のねじれも生じていることが分かった。これは2環性化合物では窒素周りの結合角が制限されていること、及びブリッジヘッドプロトンとアミドカルボニル酸素の立体反発(アリリックストレイン)により窒素ピラミッド化とアミド結合のねじれが同時に生じ、アミド結合回転障壁の低下を引き起こしていると理由付けることができる。非平面アミド結合を持つオリゴペプチドの規則構造を研究した例はなく,新規な構造化学や機能発現が期待される。そこで7-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン骨格を有する光学活性なβ-アミノ酸誘導体を設計・合成し,Fmoc固相合成(または液相合成),逆相HPLC精製によりそれぞれホモペプチドを合成した。メタノール中で円二色性(CD)スペクトルから規則構造が示唆された。
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