研究課題/領域番号 |
14370720
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
二木 史朗 京都大学, 化学研究所, 助教授 (50199402)
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研究分担者 |
杉浦 幸雄 京都大学, 化学研究所, 教授 (40025698)
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キーワード | 細胞内情報伝達 / 合成ペプチド / HIV / 膜透過ペプチド / ペプチド工学 / 転写調節 / 転写因子 / アルギニン |
研究概要 |
近年、HIV-1Tat由来の塩基性ペプチドをキャリアとして、様々なタンパク質が細胞内に導入されることが報告されている。本研究においては、化学的架橋原子団を有するペプチドセグメントを細胞内に導入し、細胞内情報伝達における細胞内タンパク質・核酸等の相互作用を解明することを目的とし、新規細胞内導入ペプチドを開発するとともに、各種架橋剤を導入した転写因子NF-κBの活性化に関与するペプチドセグメント等を用いて、これらのペプチドと相互作用する細胞内分子、ならびに、これらの認識様式に関する情報を得ることを目指した。転写因子NF-κBの活性化に関与する蛋白質I-κBのリン酸化部位、およびユビキチル化部位に対応するペプチドを合成し、アルギニンペプチドと結合させ、細胞内に導入したところ、NF-κBの活性化を阻害できることが分かった。転写因子Sp1のDNA認識部位に対するペプチドを細胞内に導入し、Sp1認識部位を有するレポーター遺伝子において転写が阻害できることも見出した。しかし、これらの阻害の程度は場合によって大きく異なり、これは恐らく細胞の状態により細胞内での誘導タンパク質の種類や割合が異なるためであると考えられ、これらの安定化・標準化に関して現在検討を加えるている。さらに、細胞内導入可能な架橋剤として、光架橋基、スクシンイミドなどを組み込んだ相互認識ペプチドの調製を試みたが、ペプチド自体が不安定であり、細胞内への投与には更なる検討が必要であることが分がった。一方、分岐型をはじめとした種々の新規細胞内導入キャリアペプチドの開発を行い、キャリアペプチドの構造により細胞内の局在がかなりの程度制御できることを示した。
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