研究課題/領域番号 |
14370725
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研究機関 | 明治薬科大学 |
研究代表者 |
久保 陽徳 明治薬科大学, 薬学部, 教授 (60097201)
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研究分担者 |
三上 襄 千葉大学, 真菌医学研究センター, 教授 (40092100)
齋藤 直樹 明治薬科大学, 薬学部, 助教授 (80142545)
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キーワード | 海洋天然物 / イソキノリンアルカロイド / 制癌剤 / エクチナサイジン / レニエラマイシン / サフラマイシン / 構造解析 / 全合成 |
研究概要 |
タイ国に生息する海洋生物の2次代謝産物として得られる抗腫瘍活性イソキノリン系天然物を新規制癌剤開発におけるシーズとする創薬研究をタイ国チュラロンコーン大学薬学部の天然物化学に関する専門家の協力の下に展開し、以下に示す研究成果を得た。まず、以前カリブ海に生息する群体ホヤEcteinascidia tarbinataのアルコール抽出液から発見され、現在欧米諸国において臨床試験が展開されているエクチナサイジン743(Et 743)を生産する同種の群体ホヤEcteinascidia thurstoniをプーケツト島東南沿岸において発見し、原海洋生物のアルコール浸透液を予めリン酸緩衝液にて液性を調整してからKCN処理したのちに、抽出、分離操作を実施したところEt743の安定等価体であるEt770が満足できる収量で得られることを見出した。現在、恒久的な確保を目指して原海洋生物の生態調査を実施している.また、貴重な天然資源の恒久的供給を志向して本系天然物の全合成研究を展開し、その特徴的な置換様式を保持した芳香環を含むサフラマイシン骨格の構築まで達成した。次に、バンコク東側に位置するシーシャン島沿岸に生息する青色海綿Xestospongia sp.について同様の安定化処理を実施したところ、レニエラマイシンMがグラムスケールで得られることを見出した。本系天然物はこれまでに世界各地で発見されているが、いずれも極微量でありいずれも単離、構造解析に留まっていた。そこでその他の微量成分の探索、相互変換反応の開発および生物活性試験を展開したところ、いずれも強力な制癌活性を示すことが明らかとなった。現在これを第2のシーズとして全合成を含めた科学的研究をさらに展開している。
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