研究課題/領域番号 |
14370729
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研究機関 | 就実大学 |
研究代表者 |
片岡 洋行 就実大学, 薬学部, 教授 (80127555)
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研究分担者 |
吉良 尚平 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (50033212)
三谷 公里栄 就実大学, 薬学部, 助手 (70368702)
早津 彦哉 就実大学, 薬学部, 教授 (10012593)
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キーワード | 固相マイクロ抽出法 / キャピラリー濃縮 / 全自動オンライン分析 / トリアジン系除草剤 / 多環性芳香族化合物 / 高速液体クロマトグラフィー / イオン対抽出 / 分子認識キャピラリー |
研究概要 |
15年度は、法中毒分野で注目されている医薬品や農薬などのインチューブSPME/HPLC及びLC/MS分析システムを開発した。また、選択性を向上させるために新規キャピラリーを開発し、環境中の多環性芳香族化合物の濃縮法についても検討した。さらに、インチューブSPMEとCEシステムの連結に関する基礎的検討を行った。 1.インチューブSPME/HPLCによるトリアジン系除草剤の分析法を開発した。抽出デバイスとしてSupel-Q PLOTキャピラリーを用いてインチューブSPMEを行う時、最も効率よく抽出でき、検出限界は0.1〜0.5ng/mLで直接注入法に比べて46〜90倍の感度を示した。また、LC/MS/MSシステムとの連結により、さらに10倍感度が上昇した。本法は、環境水の分析に十分適用できた。一方、新しい試みとして、抽出困難な極性化合物の水溶液にカウンターイオンを加えるイオン対インチューブSPME/HPLC法を検討し、カルボキシル基を含む解熱鎮痛薬や動物用医薬品、抗生物質などを効率よく抽出濃縮できることを見いだし、現在最適化を行っている。 2.キャピラリーの選択性を上げるために、多環性芳香族化合物に選択性を示す銅フタロシアニンを固定したブルーキャピラリーや糸を染色してキャピラリーに挿入した新規キャピラリーを開発して、その性能評価を行った。木綿糸や絹糸に銅フタロシアニンを固定化すると、環境ホルモン類、揮発性有機化合物、ステロイドホルモン類やヘテロサイクリックアミンなどの多環性芳香族化合物を選択的に吸着できることがわかった。ポリエステル糸には上手く固定化できなかった。固定化したブルーコットン及びブルーシルクをキャピラリーに挿入してインチューブSPMEを行ったところ、糸がキャピラリー内に詰まり、ポンプ圧が上がってしまった。現在、キャピラリー内壁に銅フタロシアニンを直接固定化する方法を検討している。 3.インチューブSPMEとCEシステムの連結については、本年度の経費で購入したオートサンプラーでインチューブSPME前濃縮したものをCEシステムで分析することは可能であるが、オンラインで導入するためのシステムの開発が課題となっている。現在、抽出用キャピラリーを短くしてCEキャピラリーに連結し、さらにCE/MSシステムで高感度選択的に分析できるよう検討を進めている。 平成16年度は、分子認識キャピラリーを用いたインチューブSPME法とHPLC、LC/MS、CEなどとのコンビネーションによるオンライン分析システムを構築し、薬毒物のハイスループットな分析法を開発していく予定である。
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