研究概要 |
1.脂質ナノエマルショシ(nanoLE)の腫瘍選択性の改善-従来処方中の大豆油量および水量を半減して高Gd含量(4.5mgGd/mL)のnanoLEを調製した。黒色腫細胞(D_1179)を皮下移植したSyrian hamsterを用い、Gd-nanoLE製剤1mLを24時間間隔で2回静脈内投与した。その結果,腫瘍内Gd濃度を189ppmにまで上昇させることが可能になった。 2.ミセル様脂質ナノエマルション(Gd-nanoMIC)の開発-Gd-DTPA-SA:HCO-40:ステアリン酸=300:1000:5の処方で,薄膜法と超音波法を組み合わせ,新たに70℃下で20分加温することにより,粒子径22nmで高Gd含量(45mgGd/mL)のミセル様ナノ粒子の調製を可能にした。この製剤を悪性黒色腫細胞(D_1179)担がんSyrian hamsterに各々1mLを24時間間隔で2回静脈内投与を行った。腫瘍内最高Gd濃度は投与24時間後で127ppm, T/B比は5.8となり,これは治療効果が期待できるレベルであった。 3.キトサンナノパーティクル(nanoCP)およびnanoLEの細胞内取り込み機構の解明とその促進法の検討-細胞内取り込みを評価するためのプロトコールの確立を行った. 4.nanoCP静注型製剤の開発-粒子の微細化とマグネタイト(MGT,平均径15nm,ζ電位-37mV)による表面修飾を検討した。異なる分子量のキトサンの0.5-2.5w/v%ガドペンテト酸(Gd-DTPA)水溶液を用いて、Gd-nanoCPをエマルジョン液滴融合法により調製した。キトサンの分子量および濃度を減少させるとGd-nanoCPの粒子径は減少し,分子量10kDaで1.5w/v%のとき,平均粒子径は最小(155nm)となった。これに対し,ζ電位とGd含量はいずれの場合もそれぞれ約25mVと約8%のほぼ一定値を示した。一方,Gd-nanoCPのMGT修飾によりζ電位は9mVに減少し,正電荷を有するGd-nanoCP表面へのMGTの静電的相互作用を介した単層吸着が示唆された。
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